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柚季
「──で、ここが憂架ちゃんのクラス…今から紹介することになるけど大丈夫?」
佐古下先生と教室まで共に歩み進めている間に簡潔に学校やクラスを説明してもらい、何とか小さく頷き返していれば目的地に足が止まって。緊張で震える手を胸元で落ち着かせようと幾度も深呼吸繰り返し。
柚季
「…皆優しい奴等ばかりだから心配すんな。先生だってついてるんだから、な?」
不意に伸びてきた大きな手が私の頭へとそのまま置かれそっと視線は先生の双眸へと移り、穏やかな表情の先生は先程とは別人で何処か壊れ物を扱う優しい手付きと双眸。女の子が好きだから優しい…それだけでは無いもっと別の何か。
柚季
「なーんてねっ。ちょっと今の俺、格好良かったね。憂架ちゃんなら直ぐに馴染めるから。」
憂架
「…ふふっ、先生有り難うございます。もう大丈夫です。」
パッと手を離しヘラヘラと笑み浮かべる先生は第一印象そのもの。やる気無い態度、女の子が大好きな先生。でも先程見た先生から少しばかり勇気をもらった事は確かであり頑張ろうと思えた。見透かされた緊張はやはりクラスの中で上手くやっていけるのか、友達は出来るのかと不安感から。先生の言葉を胸に高校生活楽しみたいと思う。
この時の私は様々な"初めて"を客観的にしか捉えられなかった。愛情と憎悪は紙一重、全ては私自身の選択によるもの。私が主人公でいる限り甘い魔法のように幾多もの形へと変わっていくの。
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