冷笑考察短篇集

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(一)猫鍋 私が住んでいるのはとあるマンションの一室だ。まだ、独り身である。都会のマンションに若い女性が独りで住んでいるなんて色々と危ないという意見を浴びせられるかもしれないが、決して独りではない。正確には一匹の同伴がいると言うのが正しいのであろう。私は一匹のオス猫を飼っている。 その猫は白い毛並みをしている。所々に黒い斑点があるのもチャームポイントの一つであろう。その猫の名はレイン。ただ単に雨の日に電信柱の近くでダンボール箱の中に寒そうに体をくるませながらにゃーにゃーと泣いていたのを私が気の毒に思い、うちに持って帰ってきたのだ。このオス猫はとりあえず何でも食べる。大好物なのは特にかつお節だ。かつお節の入った袋を見せるととてもいつものようにゴロゴロと愛らしく仰向けに寝ているぐーたら猫とは感じさせないような素早い動きをするのだった。まあ何でもかつお節が大好物なのはありがたい。食費が浮くからだ。
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