冷笑考察短篇集

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その間に彼氏から「今日は寒いから鍋にしよう」と電話が掛かってきた。彼も給料日前なので食費を抑えようとして、よく私と家で夕食を取るようになるのだ。今日もそんな風になるのだ。 もうそろそろ彼氏がスーパーで肉や野菜を買って、うちに来る頃だろうと思った私はまだ寝ているレインを引っ張り出して鍋の用意をする。ダシが効いていい匂いがする。 「そろそろかな?」 十分ほどダシをとるといい匂いが部屋中に充満する。 あれ?鍋のフタが微妙にずれている。確か、ちゃんとフタをしたはずなのにな…… 試しに開けてみると…… 入れたはずのない肉塊があった。それをよく見ればレインだった。 急いでぐつぐつと湯気がたっていた鍋から引き出す。しかし、彼はすでに息絶えていた。 「何で?」 私は直後にわかっていた。ダシに昆布とかつお節があった。……かつお節 私はただ呆然とするしかなかった。 その時、玄関のベルがなった。 彼氏が来たのだ。 私は同時に愛猫と彼氏を失ったのだ。 私の中の幸せの折れ線グラフは急速な左下がりを始めたばかりである。 (了)
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