第1章 崩れ去った『日常』

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午後3時32分 あれから、生存者を総動員して新たな生存者を捜索して数人の生存者を救出したが、俺や聡の両親も、友人も見つかることはなかった。 ブゥーン キィ-ッ 避難場所に自衛隊車両が現れた。 トラックが1台、どう見ても住民の移送ではない……じゃあなんだ? トラックから降りた自衛官は制服からして空自だろう。 自衛官は荷台から拡声器を取り出した。 『あー、あー、皆さん、現在我々、航空自衛隊は全力で防空任務に当たっています。しかし、沖縄方面に搭乗員の増援を行ったため戦闘機の搭乗員が不足しています。そこで、民間人の中から航空免許を保有している方を募集します』 それを聞いた聡が俺の方を向いた。 「おい、昴!」 「ああ」 俺たちは人混みを掻き分けて自衛官のもとに向かった。 予想以上に人が集まっていて手こずったがなんとか自衛官のもとにたどり着いた。 「志願します」 「俺も志願します」 自衛官は俺たちを見た。 「君たち、名前と持っている免許は?」 「綾瀬 昴、自家用固定翼機です」 「北村 聡、同じく自家用固定翼機です」 俺と聡は免許証を提示した。 「よろしい、乗りなさい」 自衛官は俺たちに免許証を返すと他に志願者がいないか呼び掛けていた。荷台に乗り込んでしばらくするとトラックは動きだし、別の避難場所に移動した。
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