序章 『彼』の話すあの戦争

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2027年3月12日 新共同通信社 記者 山崎 孝博 日本の首都・東京。 僕は東京都内でも省庁が集中している新霞ヶ関に来ていた。 『彼』に会うために…… 「ここ、か……」 目の前には周囲を国防軍の兵士が警備するビルがある。 その周囲は塀に囲まれており、正面には侵入防止用の鋼鉄製のゲートがあり、ここにも兵士が立っている。 この厳重な警備体制は平時においてこの国の最高レベルであり、皇居や国会議事堂、首相官邸と同等である。 「さすがに戦前の防衛省とは桁違いの警備だな…」 とは言っても、戦前の防衛省は昔に見たニュースか、あとは写真でしか見たことないけどな…… 僕はそんなことを考えながらゲートに近付いた。 ゲートの脇には鉄製の看板が掛かっており、そこには『国防省』の文字がある。 「失礼、身分証と立入許可証を拝見します」 ゲートに着くと、迷彩服を着た兵士が身分証と許可証の提示を求めてきた。 僕は財布から身分証を、カバンから許可証を出して兵士に渡した。 「新共同通信社の山崎 孝博さんで間違い無いですね?」 「はい」 「では、こちらにサインをお願いします」 兵士は『一般立入者名簿』と書かれた書類とペンを出して渡してきた。 僕は名簿に必要事項を記入して兵士に返した。 「それでは身分証はお預りしますので、帰るときは再度こちらにお越しください。それから許可証はケースに入れましたので、施設内では常に首からお掛け下さい」 「わかりました」 僕は許可証の入ったケースを首から掛けて国防省の敷地内に入った。
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