第1章 崩れ去った『日常』

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2011年5月15日 某私立大学 2年 綾瀬 昴 俺は大学の構内を歩いていた。 ったく、沖縄じゃあドンパチやってんのにこっちの方は平和そのものだな…… 2ヶ月前に始まった日本と中国の戦争。 たしか開戦の理由は尖閣諸島の辺りであった中国海軍と海自の小競り合いだったかな。 おまけにこの戦争に乗じて北朝鮮は韓国に侵攻するし、安保理はまともに機能しないし、何だか泣けてくるよな…… そんなことを考えながら俺は大学の駐車場に停めてある車に乗り込んだ。 カバンから車のキーを出してエンジンをかける。 いつもならここで自分で編集したロックのCDをかけて家までまっしぐらに帰るのだがそうはしなかった。 たまにはラジオを聞きながら帰るのも悪くねぇよな。 俺はラジオのスイッチを入れた。 『えーっ、現在熊本にいる米倉さん!そちらの様子はどうですか?』 『はい、熊本の米倉です!陸上自衛隊・西部方面隊総監部の発表では沖縄防衛を担当する第12旅団は先島諸島の防衛を放棄すると発表しました』 「ありゃー、先島を放棄かぁ、沖縄本島に戦力を集中させて迎え撃つってとこかな?」 車は国道6号線に差し掛かっていた。 『現ざ……ニュース速報をお伝えします!防衛省の発表によりますと石川県にある航空自衛隊・小松基地が中国軍機の攻撃を受けて壊滅的打撃を受けたとのことです!』 は!? 小松が壊滅!? 俺は耳を疑った。
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