第一章

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四月二日、今日、僕は十二歳になった。 傍から見れば幼さが残った可愛げのある、何処にでも居る小学校高学年にしか見えないだろう。 もしかしたら、低学年に見られるかもしれない。それくらい僕は黒いランドセルが似合う。 家だって中流階級程度では在ったが、世間一般から見れば裕福で標準的な家庭であり、両親は絵に描いた様な美男美女で、人間味溢れた良い父母だ。 しかし、僕は人間味に溢れていない。真新しく艶々しい黒いランドセルのように僕の心は、真っ黒で先が見えない。
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