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如月夜子の1日は朝5時から始まる。
黒髪ショートに、両親譲りの鋭い目付き
美少女の類いに入るだろう、夜子はジャージを着込み、毎朝の日課であるランニングを始める
両親から離れ、東京で1人暮らしで、身につけた知識は、己の弱みを見せない事、嫌いだった格闘術やオカルトの類いとされた古い叡知の結晶であるものを磨き出したのは、高校の入学式から1週間後に遭遇した。
連続殺人事件がきっかけだった。
もうあの事件から2ヶ月が経ち、殺人事件の事を誰もが忘れだす中
夜子だけ、取り残されたように、時間だけが止まったままだ。
「お、夜子ちゃんじゃないか♪」
ふと、公園をランニングしていると、老夫婦から話しかけられ、足を止めず、挨拶をかわす
「オジサン、今日は腰の具合は大丈夫ですか?」
「え?あ、いや、大丈夫だよ」
「あまり、無理をしないでくださいね」
と、夜子は強く念を押し、ランニングを再開する
「夜子ちゃん、今日は家にいらっしゃいね」
奥さんの方から去り際にそう言われ、手を軽く振った。
二条明日奈は、小汚ない古アパートの前、腕を組み、アパートを睨みつける。
真っ赤な髪は腰まであり、ジャギー
外見は日本人離れした容姿に、スタイルも同年代の子に比べ、発達した美少女だ。
制服のボタンを外し、リボンではなく男用の黒いネクタイに銀のネクタイピンをした変わった格好を好み、普段着もネクタイを欠かせない変わった少女だ。
「っち」
舌を鳴らす
2ヶ月前、このアパートは連続殺人事件の犯人が住んでいたこのアパートは明日に、建て直しのため、解体される
全てを解決したのなら、納得はしただろう
だが、あのアパートにはまだ秘密が隠されている
それを暴く機会が潰される事が苛立ちの原因だ。
「あーもう!!もっとわたしに調べさせろ!!」
大声をあげ、壁をバシバシと殴りつける彼女の背後、彼女の使用人である男は深い溜め息をこぼした。
「明日奈様、それではあの事件の真相を突き止めた《如月》の者を招かれてはどうでしょうか?」
「如月?あーあの冷酷女?招くはずないわ、お父様は如月と深い関係があるけど、わたしにはないもの」
最後に1発
建て直しとわかっている、だから、手助けのつもりで、全力で壁をぶん殴り、気がすんだのか、踵をかえし、歩き出した。
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