第1章 ―朝川先輩と凪先輩―

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僕がそう言うと突然扉が開いた。 そこにはショートカットの美人が立っていた。 その人は僕に気付くと睨んできた。 「おかえり、凪」 「ただいま、咲。それでこの咲のこと口説いているこいつは何?」 と強い口調で言った。 「口説いてなんかいません!僕は相談を受けにきただけです」 そう言った後僕はしまったと思った。 相談を受けにきたって自分で言っちゃったよ。 「ふーん、でどんな悩みだったの、咲?」 「いや、まだ聞いてないの」 どうしよう、言わなきゃいけない雰囲気になってしまったようだ。 「で、何?」 凪先輩が強い口調で言う。 凪先輩、怖くて言えないよ。 朝川先輩だったら言えただろうに。 こんなことなら言っておけば良かったと後悔した。 「そういえば名前聞いてなかったわね」 呆然としていた僕に朝川先輩は聞いてきた。 「えっと」僕が自己紹介しようとすると凪先輩が話し始めた。 「戸羽高志、1年D組16番よ」と言った。 何で知ってるんだ?怖すぎるよ、凪先輩。 「じゃあ高志君」と朝川先輩が僕を呼んだ。 朝川先輩が僕を下の名前で呼んでる!と感動して凪先輩の怖さを忘れていた。
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