第1章 ―朝川先輩と凪先輩―

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しかし凪先輩の怖さを忘れてはいけなかった。 「何、咲に名前で呼ばれてにやけているの。気持ち悪い」 そうこの毒舌を忘れてはいけなかった。 凪先輩は美人だけどやっぱり怖すぎる。 「そんなこと言っちゃった駄目よ、凪」 朝川先輩が僕を弁解してくれた。あぁすごく嬉しい。 「だって本当のことじゃない、今もにやけているし」 「そんなことないわよね、高志君?」  否定できない。まったく否定できない。 「ほら、否定できないじゃない」 「えっ、じゃあ本当だったの?」  僕は穴があったら入りたくなった。 「変態君、咲から離れてさっさと帰りなさい」  僕は凪先輩にそう言われるともう何も言えなくなり、部屋を出て走って帰った。           「凪!!ちょっと言い過ぎよ!」 「ゴメン咲、だって戸羽だったもん」 「えっ、どういうこと?」咲がキョトンとなる。 「な、何でもない!!」凪はそっぽを向いたがしばらくすると、おもむろにメモ帳に何か書き始めた。 「はい、咲これ」そう言ってメモをビリビリと切って咲に渡した。 「えっ、これって」
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