第1章 ―朝川先輩と凪先輩―

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「あぁ、ごめんなさい」 朝川先輩が慌てて僕から離れる。 「凪のこと許してくれてありがとうね」そういうと何かを思い付いたかのようにハッとなっていた。 「私の携帯のアドレス教えておくね」 「ええっ、い、いいんですか?」  僕は驚いた。まだ今日会ったばかりなのに。 「ええ、もちろんよ。相談に乗るし、勉強の質問だって構わないわよ」  勉強って聞いたとき何かが引っ掛かった。  あっ、調べるの忘れてた。 僕が呆然となっていたら、朝川先輩が「どうしたの」と聞いてきた。 「いや、あの調べるの忘れてたんです、でも大丈夫です。明日休みなんで図書館に行って調べますので」  そういうと、「分かったわ、じゃあ私も一緒に行くわ。」と言った。 「別に一人で大丈夫ですよ、学校の図書室でできる程度なので」 「手伝えば、早く終わるでしょう。そうしたら一緒にどこか遊びにいくの、それで高志君の悩みを打ち明けさせるわ」 「それって無理矢理じゃないですか」  さっさと言っていることが違う。無理矢理聞いてごめんなさいって言っていたのに。 「いいえ、無理矢理じゃないわ。仲良くなれば打ち明けやすいじゃない?だから一緒に行くわよ」  どうやら僕には拒否権がないようだ。でも朝川先輩と過ごせるならいい。 「分かりました」 「じゃあ、詳しい時間とかはメールするね!」  朝川先輩が満面の笑みで言った。  こうして僕の明日の予定が決まった。
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