恋するアリス

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小屋は本当に実在していた。 ということは本当にアリスという娘はいるのか? 『……っ』 ごくりと唾を飲み込む。 そんな訳……そんな訳がない。 小屋があったことは認めよう。 だが人が住んでいないというのならそれはもう無意味だ。 家の中が空なのを確認してから帰ろう。 そう決心した俺は大きく足を踏み入れる。 と、そのとき家の扉が開いた。 声を出そうとした俺ははっとして両手で口を押さえる。 扉を開けたのは俺ぐらいの歳(十代半ば…)の可愛らしい女の子だった。 青くて長い髪を揺らしながらゆっくりとした歩調で花に水をやっている。 そのとき俺の脳裏に横切ったものは、 "アリスは本当に実在した"ということだ。 なんてことだろう。 あんな可愛らしい娘が町の人達に忌み嫌われているのか―?  
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