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「入ってくれ」
そう言ってシルヴァ総長は総長室の扉を開く。
俺は中に入る。赤い絨毯が敷かれ、左側の壁を埋め尽くすほどに並んだ本棚。その本棚にも、これでもかという程の書物が敷き詰められている。
部屋の隅の暖炉では柔らかな火がパチパチと小さな音を立てて燃えており、部屋は心地の良い暖かさに包まれている。
部屋の中央に大きな机、その脇にはシルヴァ総長の愛刀、『覇断(ハダン)』が立てかけられている。
「…やはり興味があるか?『サムライ』に?」
「!」
『覇断』を見つめる俺を見て、シルヴァ総長が微笑みながら言った。
「そりゃあ…無くはないですよ」
「はは、そうだな…お前の『血筋』かもしれないからなぁ」
「…えぇ」
刀…
その昔、地球の地形が変わるよりももっと前。とある島国に『サムライ』と呼ばれる者達がいたらしい。
そのサムライが使っていたとされるのが『刀』と呼ばれる武器だ。
薄く研ぎ澄まされた刀身。それは緩やかな曲線を描き、鋭い銀色の光を放つ。
「斬る」という目的の為だけに産まれた、片刃の剣。
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