61人が本棚に入れています
本棚に追加
変態を放っておいたらどんな際どい服を買ってくるかわからないので、俺もそのメイド服の調達とやらに着いていくことにする。
「テックルさん、林檎とマンゴーここに置いとくなー!」
変態が置いていった林檎とついでにマンゴーを差し出して、野郎の後に続いて扉を出る俺。主人の物は俺の物。
変態は俺の気配に気づいたのか、こちらをちらりと一瞥するとまた無表情で歩き出した。
「主人に着いてくる間にコーヒーの準備でもできただろうに」
「変た……ご主人様に買い物を任せるとロクなことにならない気がするので。というか、コーヒーなんてあったんですね」
ふーん、と興味無さげな返事をして、変態は塀をよじ登っていく。当て付けか。俺を撒こうったってそうはいかんぞ。
「な……足から手を離せ。その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやろうか」
「無理です、離しません。髪にかりんとうが付いてますよ」
ふんっ、と鼻を鳴らして俺に手を差し伸べる変態。まさか俺のことを認めたとかそんなんじゃないだろうな。あの会話のどこにそんなポイントがあったんだ。
とにもかくにも、俺は伸ばされた手を遠慮なく掴む。変態は躊躇なく引き寄せ……あれ、なんか強くないですか?
「うわあああっ! 強いって、飛んでるって!」
お、落ち……と思ったが、変態が下敷きになってくれるみたいだ。無表情で構えてやがる。
…………ん?
「お姫様抱っこ……だと……」
「お前あれだな。……女の体勢の方が映える」
それを誉め言葉として扱えるこいつはすごいと思った。
最初のコメントを投稿しよう!