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どうやら塀の向こう側は路地だったらしく、暗くて狭いジメジメした道をやはり無表情で闊歩していく変態。いや下ろせよ、恥ずかしいだろうが。
ていうか何なのこの場所。本当の変態ならすぐにでも過ちを犯しそうなぐらい人気がないんですけど。
怖くなった俺は、襲うかどうか迷っていると思われる変態に究極の選択を迫ることにした。
「む、ムラムラします?」
「ふざけるな。俺を誰だと思っているんだ」
や、やっぱりか! 変態ならそうだと思ってたんだよ!
喰われる……今度はタックさんとは違う意味で!
「何を青くなってるんだ、初対面の相手に対して失礼だと思わないのか」
それはまさか最初に変態だと見抜けなかった俺が悪いと、暗に示唆しているのでは……!
「何か勘違いしているようだから言っておくが、俺がお前をメイドにしたのはお前を傍に置いておきたいからだぞ」
「いやその問題は今、疑心から確信へと変わって俺の考えは核心を突いたから! バッドエンド確定のルートに突入したから!」
「ああもう面倒くせえな!」
変態は珍しく不満の色を見せた。激しく頭を掻いて、狂ったように顔を歪める。
「俺は……俺も、日本人なんだよ、馬鹿!」
え? あぁ、そう。
……は?
ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?
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