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「ちょっと旦那ぁ~、そういう事は先に言っといてくださいよぉ~」
「豹変の仕方が半端無いなお前」
うんざりした顔で俺を見やる変た……おっと、ご主人様。
いやしかし待てよ……同じ日本人だからと言っていきなりご主人様は失礼かもしれない。そして俺はこいつの名前を知らない。これは呼び捨てにするチャンス!
「じゃあ名前はなんて言うんだ?」
「ヤケニフレンドリーナンデスネ」
急にカタコトにナルヘンタイ。オットウツッタ、アブナイアブナイ。
「ハヤクオシエロヨ~」
「治ってないぞ」
「……!?」
「なんだこのジャンプの尾田みたいなノリ」
敢えて相手にツッコませることで親睦をぐっと深める俺のナイス案。
ぐっと……?
「ぐを……具をぐっと入れろ!」
「どや顔するな。あとそのネタ既出だから止めろ」
お堅い緒方祐介みたいな奴め。誰だ。
そんなこんなで二人で服屋まで歩いてきた。お姫様抱っこはさっきこいつが頭抱えた時に抜け出した。
「で、忘れてたけどさ。お前のこと何て呼べばいいの?」
「あー……なら『ご主人様』で」
少し考える素振りをして、こいつは答えた。うん、じゃあご主人様でいこう。
「それでどんなのを買うんだ、ご主人様?」
「呼び方だけ変えろって言ってんじゃねえんだよ」
頭をぐりぐりされた。ですよね当然ですよね。
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