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野次馬が集まった時の騒めきがする。
気づけばカーテンの隙間から生えた手は親指を下に向けていた。ざまあ。
面白半分でその手をまた胸に這わせると、今度はそこから俺の脇腹を伝って強引に背中に回す。そうして無理矢理変態の方に引き寄せられる俺。体勢的には、人質みたいな。
「動くなよ。こいつがどうなってもいいのか」
そう言って俺の首にナイフを這わせる変態。本当に人質だったみたいです。
正直ドギマギが止まんないっす。だってこいつ地味にイケメンだし、俺は男の娘になってる訳っしょ?
最高のシチュとカップリングじゃねえか畜生!
「んっ……」
なんか余計なこと考えたせいで、反射的に喉からくぐもった声が漏れる。なんだか顔――というか全身が熱い気がする。
そして俺は膝から崩れ落ちる。なんだろ、何が起こったんだろ。
「おい、大丈夫か? お前、熱はないはず――――」
そこで俺の意識は途切れた。
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