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「今日はここに泊まらせて頂く。よろしく」
そう言って、ご主人様は俺に抱き締められて呆けているイオに、手を差し出した。
一瞬戸惑ったイオだったが、俺が空気を読んでイオから離れると嬉しそうな笑みを浮かべてご主人様の手を握った。
「よろしくお願いします」
「違う。お手」
遊んでやがる……!
「ふぇ? ……え、えぇ?」
当然だが、訳も分からずオロオロするイオたん。かわええわぁ。
ご主人様は、天然の萌え素材を前にして少し興奮しているようだ。ジュピターがいるのにも関わらず、イオたんの反応を見て楽しんでいる。
……そろそろ止めるか。
「ご主人様、もう止めた方が良いですよ。ジュピター様が怒ってらっしゃいます」
「……ん、そうだな。すまなかった」
「い、いや怒ってはないさ」
正気を取り戻して、ジュピターに謝るご主人様。いい子いい子。
「ふぇ……ボク、遊ばれてたんですかぁ?」
間延びした喋り方で、赤い頬を撫でながら首を傾げる。……君、そんなんだから虐められたんだよ。
いや、オロオロ可愛かったけども。
「それじゃあ部屋に案内しようか。父上には客ではなく友人だと紹介しておくよ」
「でも旦那様、自分の御友人からも容赦なく代金を頂いてますよぉ?」
「うぐ……何とか説得してみせよう」
「すまないな、助かる」
いつの間にか条件のことをすっかり忘れて、どうにか俺達をタダで泊める算段を立てているジュピター。
こっちも助かる。見るのは大好きだけど……ねえ?
そういえば、『もんじろう』の『2ちゃんねる風味』で「大好き」と入力すると「寧々っ」と変換される。2ちゃんの人間は皆寧々が大好きですかそうですか。
「ところで、君達はどこの者だい? ここらでは見ない顔だが」
「東の方から砂漠を抜けて来た」
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