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可笑しい。いや、この世界の基準は分からんが、俺の元いた世界なら明らかに犯罪だ。
俺はご主人様の手を取り少年に近寄ると、放たれた火を見て呆けている少年の肩を掴んだ。大人の方は勝てる気しないし、子供なら子供の言うことは聞く筈だ。
「ちょっと、ボク」
返事はない。少年はこちらを一瞥することもなく、ただただ盛る炎を凝視するだけだ。
……ガキのくせに生意気な。腐ってそうな性根を叩き直してやろうか。
「この子供……意識がないな。やはりテロというのは、個人の仕業か……」
ご主人様は少年を観察して呟いた。え、何? どゆこと? 俺にも分かるように説明プリーズ。
俺がご主人様に気持ち悪い目線で訴えていると、ご主人様はその視線に気づいてないのか、少年の方に近づき……
「おい、目を覚ませ」
「うっぐっ……痛い。何?」
頬を張った。痛そうだなぁ、ぐらいにしか感想は思い浮かばないが、何となく気の毒そうな顔を浮かべておく。それとは対照的に、ご主人様は無表情だ。
「一番新しい記憶を言葉にしろ。今すぐにだ」
酷なことを言ってやるよ。混乱してるだろうにさ。
だが俺の予想は外れて、少年は目を輝かせてご主人様を見る。
「お兄ちゃんっ!」
…………何ですと?
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