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目が覚めると知らない天井が見えた……などということはなく、記憶に薄いので覚えているかいないか分からない、つまり知らないかどうかが分からないし、今まで寝た部屋の天井の木目なんて一々覚えている訳もないので、とどのつまり、その…………分からない。
温もりを感じて顔を左に向けると、ご主人様の顔が目と鼻の先にあった。すやすやと健康的な寝息を立てている。……よし、落ち着こうか。どうやら俺はまだ大分寝惚けているらしい。
「東京特許許可ゃ国」
うし、ミスったがこれで目は覚めただろう。
俺は改めて顔を横に向ける、とやはりご主人様の顔がそこにって目ぇ開いてるーッ!?
「おはよう」
考えなしに自分を奮い立たせようとすると必ず失敗します。皆さんもお試しあれ。
「お、おっはー」
ご主人様にフランクな挨拶を仕掛ける。が、そのボケかどうか分からない微妙な反応は予知されていたかのように返された。
「ああ、山ちゃんは可哀想だよな」
だが、こちらも突っ込みかどうか微妙なラインの中途半端な応答。しかもしんごママのワードは出てこないんですか。それはそれで可哀想だなしんごママ。料理上手って割りには大した物作ってなかった気がするけど。
「ええ、可哀想ですよね、チーズ」
「その発想はあった」
じゃあ先に言えよ。
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