4人が本棚に入れています
本棚に追加
今日
「うー、さぶ」
帰宅早々部屋に駆け込んだ俺は、電気ストーブの前で丸まった。
もうすぐ冬だから、と用意したのは先週のことだったが、実際にそのダイヤルを回すのは去年の冬以来だ。
もう、冬か。
もう、冬だ。
あれから約一年が経過したのだ。
のっそりと立ち上がり、机の引き出しを開けた。
他の引き出しとは違って、この引き出しの中は随分とさっぱりしている。
箱がひとつ、入っているだけ。
何の色も飾りもない、四角い木の箱という質素なデザイン。
それは少し小さめなオルゴール。
泥で汚れているが、それは間違ってもデザインされた物ではない。
持ち上げると中でからから、と乾いた音がした。
もう、冬になるのか……。
大通りの木の下で、俺は彼女に出会った。
最初のコメントを投稿しよう!