今日

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「うー、さぶ」  帰宅早々部屋に駆け込んだ俺は、電気ストーブの前で丸まった。  もうすぐ冬だから、と用意したのは先週のことだったが、実際にそのダイヤルを回すのは去年の冬以来だ。  もう、冬か。  もう、冬だ。  あれから約一年が経過したのだ。  のっそりと立ち上がり、机の引き出しを開けた。  他の引き出しとは違って、この引き出しの中は随分とさっぱりしている。  箱がひとつ、入っているだけ。  何の色も飾りもない、四角い木の箱という質素なデザイン。  それは少し小さめなオルゴール。  泥で汚れているが、それは間違ってもデザインされた物ではない。  持ち上げると中でからから、と乾いた音がした。  もう、冬になるのか……。  大通りの木の下で、俺は彼女に出会った。
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