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「ねえ、おかあさん。おはなしよんで?」
女の子はお母さんに言いました。
きょうはクリスマス。
テーブルいっぱいのごちそう、ジュースにキャンドル。
クリームたっぷりのまっ白なケーキには、女の子の大好きないちごがのっています。
あとはお父さんがかえってくるのをまつばかり一一一。
「お話?いいよ。どの本にする?」
お母さんが本だなから絵本をとろうとすると、女の子は「ううん」と首をよこにふります。
「はじめてきくおはなしがいい」
そのことばにお母さんは首をかしげました。
「初めて聞くお話?」
「うん」
うなずく女の子の目はかがやいています。
そう。まるでへやにかざられているクリスマスツリーのように、キラキラキラキラと。
お母さんはそれをしばらく見つめると、にっこりとほほえみました。
「そっか。じゃあ、とっておきのお話をしちゃおうかな?」
「うん!」
「じゃあね……」
お母さんはゆっくりと話し始めます。
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