青くまくんと赤くまちゃん。

5/9
前へ
/11ページ
次へ
  はしってはしってはしってはしって、ずーっとはしりつづけて。 「あっ」 赤くまちゃんはきのねっこにつまづいてころんでしまいました。 ふわふわなゆきのおかげでけがはしませんでしたが、そこでようやくきづきます。 「ここ、どこ?」 そう。やみくもにはしっているうちに、赤くまちゃんはまいごになってしまったのです。 ひはすっかりしずみ、もりはもうやみのなか。まっくらなきのかげからは、いまにもおばけがでてきそうです。 もどろうとしばらくあるいてみましたが、どこからきたのかさっぱりわかりません。 「もうつかれたよぅ」 あるきつかれた赤くまちゃんは、ついにそのばにしゃがみこんでしまいました。 「おうちにかえりたい……」 さみしい、こわい、おなかすいた。 いろんなきもちがごちゃまぜになって、そのめからはなみだがぽろぽろこぼれてきます。 ……そうしてどれくらいなきつづけていたでしょうか。 しゃん、しゃん、しゃん、しゃん。 しゃん、しゃん、しゃん、しゃん。 ふいにすずのおとがきこえたきがして、赤くまちゃんはかおをあげました。 なにかしら? 赤くまちゃんはじっとくらやみにめをこらします。 すると、あかいひかりがこちらにちかづいてくるではありませんか。 こわい!きっとおばけだわ!! 赤くまちゃんはたちあがってにげようとしました。 すると、 「にげなくてもいいよ」 やみのなかからやわらかなこえがひびきます。 「こんなところでどうしたんだい?」 そこにあらわれたのは、しろいひげをたくわえたちゃいろいうわぎのおじいさんでした。  
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加