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はしってはしってはしってはしって、ずーっとはしりつづけて。
「あっ」
赤くまちゃんはきのねっこにつまづいてころんでしまいました。
ふわふわなゆきのおかげでけがはしませんでしたが、そこでようやくきづきます。
「ここ、どこ?」
そう。やみくもにはしっているうちに、赤くまちゃんはまいごになってしまったのです。
ひはすっかりしずみ、もりはもうやみのなか。まっくらなきのかげからは、いまにもおばけがでてきそうです。
もどろうとしばらくあるいてみましたが、どこからきたのかさっぱりわかりません。
「もうつかれたよぅ」
あるきつかれた赤くまちゃんは、ついにそのばにしゃがみこんでしまいました。
「おうちにかえりたい……」
さみしい、こわい、おなかすいた。
いろんなきもちがごちゃまぜになって、そのめからはなみだがぽろぽろこぼれてきます。
……そうしてどれくらいなきつづけていたでしょうか。
しゃん、しゃん、しゃん、しゃん。
しゃん、しゃん、しゃん、しゃん。
ふいにすずのおとがきこえたきがして、赤くまちゃんはかおをあげました。
なにかしら?
赤くまちゃんはじっとくらやみにめをこらします。
すると、あかいひかりがこちらにちかづいてくるではありませんか。
こわい!きっとおばけだわ!!
赤くまちゃんはたちあがってにげようとしました。
すると、
「にげなくてもいいよ」
やみのなかからやわらかなこえがひびきます。
「こんなところでどうしたんだい?」
そこにあらわれたのは、しろいひげをたくわえたちゃいろいうわぎのおじいさんでした。
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