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「わたし、まいごになっちゃったの」
おじいさんをみてあんしんしたせいか、赤くまちゃんのめから、いちどはひっこんだなみだがまたあふれてきました。
おじいさんは、そんな赤くまちゃんのあたまをやさしくなでてくれます。
「おお、それはたいへんだ。どれ、わしのそりでおくってあげよう」
「そり?」
「ああ。どんなきょりもひとっとびできるそりだよ」
「ごらん」と、おじいさんのゆびさすさきをみると、そこにはトナカイたちのひくそりがありました。
ちかづくとわかったのですが、どうやらさっきのあかいひかりは、ひかるトナカイのはなだったようです。
「まあ、ふしぎ!どうしておはながひかっているの?」
おもわず赤くまちゃんはたずねました。
「それはね、まっくらなよみちをはしるとき、このはながみちをあかるくてらしてとってもべんりだからさ!」
こたえるトナカイはなんだかほこらしげです。
おじいさんはしゃがむと、赤くまちゃんめをのぞきこんで、いいました。
「じつはわしは、ひとしごとおえたあとでね。青くまくんにてがみをもらってここにきたんだが、しっているかい?」
「え!?」
赤くまちゃんはおどろきました。いったいどんなようで、青くまくんがこのおじいさんにてがみをかいたというのでしょう。
それをそのままつたえると、おじいさんは「ふむ」と、しろいひげをひとなでしました。
「じゃあ、それをいっしょに青くまくんにききにいこうか?」
「でもわたし、青くまくんがどこにいるかわからない……」
たよりなげにそういう赤くまちゃんに、おじいさんはにっこりとわらいます。
「だいじょうぶ、すぐにわかるよ。さあ、そりにおのり」
うながされるまま赤くまちゃんがおじいさんとそりにのると、そりがふわりとちゅうにうきました。
「わあ!すごい!」
さっきまでのなみだがうそのよう。赤くまちゃんはまんめんのえみではしゃぎます。
「ほっほっほっほっ。おちないように、しっかりとつかまっているんだよ?」
「うん!」
赤くまちゃんがおじいさんのうわぎをぎゅっとつかむのをあいずに、そりはよぞらへとはしりだしました。
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