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他の子供たちとは離れた場所で、機械の部品を組み立てている。子供の頃に造った模型工作のロボットのように思えた。
形だけは取り繕われたロボット。
視界に映る子供はそれを指差しながら瞳を閉じる。
彼は気付いた。子供の傍らに転がる遺骨に――
一陣の風がロボットを壊すのと、彼が息を呑むのは同時だった。彼の思考は嫌な結論に辿り着く。
子供が何事かを呟いて、バラバラになった部品をもう一度組み上げようとする姿が、彼の眼には痛々しく映った。だからだろう……気付いた時には、頬の痩けた子供を抱き締めていた。少年の母親のように――
「おじさん、だれ?」
声と呼ぶにはあまりにも粗雑で、音と呼ぶにはあまりにも繊細な少年の言葉。喉を上手く使えていない少年の声には、覇気なんてものは感じられない。少年は食事も碌(ろく)に摂っていないのだ。水分を口に含む事すら満足にしていない少年の唇は罅割れ、言葉を発する度に新たな傷を作る。
「お母さんのお友達だよ。君を迎えに来たんだ」
「……迎えに?」
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