茶を入れろ。十秒で。

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「そこに立ってるのは」 「だーれかな?」 本の影からひょこりと二人の男子生徒が顔を出す。 同じ顔。一卵性双生児というやつだろうか。 「あっ、僕は一年の日向 葵といいます。入部する部活を探していて」 「なるほど。じゃあヒマワリ君だね。俺は山吹 楓。二年生だよ」 「ひー君だね。俺は山吹 紅葉、同じく二年。見ての通りの双子さ」 髪型も表情も何から何まで一緒でリアルな鏡をみているような気分だ。名前まで似ている。 双子に憧れたこともあったっけ。 「で、奥で優雅に読書をしているのが我らが帝王」 「またの名を魔王と異名をとる我らが部長」 その時 「枯葉コンビ、ミルクティー」 「はい!」 「ただいまっ!」 言うが早いかダッシュで奥の扉の中に引っ込む。 枯葉…紅葉と楓だからだろうかなどと考えていると、本を読んでいた魔王だか帝王だかと言われている部長が目の前にやって来た。 本気で美形だ。 さっきの二人はカッコいい癒し系とでもいうなら、研ぎ澄まされた美人って感じ。 身長も高くて手足も長い。 それに比べて僕は身長は平均、顔も平凡中の平凡。取り立てて秀でてるような部分もない。
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