旅立ちの街

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「それにしても―」 空は快晴で、風は涼しくて、なんてピクニック日和なんでしょうみたいな感じで一気に機嫌が回復。 街から出た私は、特にいく宛もないので雑誌を読みながらなんとなく草原を歩いていたのです。 そうして読んでいた雑誌の中には、私の気になる特集があったのです。 「あっ、 『第29回バトルフェスティバル』だ!!」 バトルフェスティバル――、それはこの世界の最端と言われるノースエリアで開催され、毎回1億人以上の参加者がいる公式戦。 その世界中の人々の中から最強を決定するための歴史と伝統ある競技として、現在まで行われてきた“世界最強決定戦”。 この雑誌では、政府や経済といったものではなく、こういうフェスティバルや魔術の情報などを載せた実用性のある雑誌です。 編集は超のつく若手記者、イニシャルY・K、二階堂氏が担当している超人気雑誌。 今週は、ランキング3位を特集で紹介していたのでした。 「『前大会の第3位、 ヘリオラ・プレニテュード』か。 あの人数の中で3位って、私にはお日様より遠いなぁ~」 私は白い素肌の手を太陽にかざして、ぼやいてみた。 いつか旅に出て、この大会に出場してみたい。 それは私が幼少期から思っていた夢でもあったのです。 しかし、その傍らで何やら騒がしい音が…。 「はぁー、まずは旅にでたいなぁー……ん?」 そう言って、雑誌から目を離した時でした。
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