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騎士に追いかけられる俺達は、再び走ることを余儀なくされる。
「騎士の白いマントは清く揺るがない正義と調和を象徴し、全身に纏う鉄(くろがね)の鎧は何者にも屈することのない、絶対的な力を誇張している、っておじいちゃんが言ってたよ!」
「正義と、調和ね…、要は…無法者を…取り締まる…警察に…代わり…ねーじゃん…っ」
酸素が徐々に不足していくのが身体で分かる。
エンドレスで走ってばかりいるが、多分今走っている分を総合して考えたら、学校とかのマラソンじゃあり得ない距離を走っているに違いない。
できるだけ速く、酸素不足と闘いながら走り続けると、前方に小さな人影を視界が捉えた。
あの人影の雰囲気は女性だろうか。
ふと気になったので後ろを見てみると、騎士の大群は俺たちに追いつくどころかかなり遅れていた。
十中八九あの重そうな鎧が原因だろう。
その様子を見た淡希は、
「あ、いいこと考えた!」
そう言って走っていってしまうのを見て、俺は焦って引き止めようと叫んだ。
「淡希…っ! 待て…!」
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