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「兄ちゃん、準備できた?」
今、俺たちの目の前には果てしなく広大な草原が広がっている。
空は雲ひとつない快晴、つくしやたんぽぽが風に揺らされ踊っているように見える。
「いよいよだね…」
「あぁ。 あの親父が生きているかもしれない、なら探しに行くほかないだろーしな」
行方不明の父、溢れんばかりの愛情を注いで育ててくれた優しい両親。
「生きてないなんて言ったら、ぶっ飛ばしてやるからな…!」
微かな希望を胸に秘めて厚く頑丈な靴を金具でしっかりとめ、長い旅の一歩目を踏みしめた。
世界は広い。
これからの旅先、何があるか想像もつかない。
でも、たった一人しかいない親父が、もう一度俺たちの名を呼んでくれるのなら…。
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