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「とはいったものの…」
―イーストサイドエリア、正面ゲート。
「すみませんー。 何度もいいますが、保護者の了承印と、年齢が確認できる身分証明書、それから他国へ行くのであればイーストサイドエリア、統括理事長のサインがある入国承諾書がないとこのゲートを通すわけにはちょっと…」
どこの世界でも、やはり住民登録みたいなのがあって、他国や長い旅にでるときはかならず提示しなければいけないものがある。
義父を殴って突発的に家を出てしまった俺が、保護者の了承なんてものを得てるはずもなく、ましてや卒業もしてないのに理事長の承諾なんかもらえっこない。
説明が遅れたが、俺は世間でいう高校中退者にあたるのだ。
無論弟もおなじで中学を中退したことになる。
無法者の俺たちを、社会がそうやすやすと外へ逃がす程甘くないのが現実だったのだ。
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