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え、なんで俺がもう一人!?
意味不明な状況にあたふたする俺とは対称的にもう一人の俺は何事もないかのようにマンガを読んでいる。
無論、放置するわけにもいかず俺は話しかける事にした。
「おい、お前誰だよ?」
「……………………」
俺の質問を無視してマンガを読み耽るもう一人の俺、しびれを切らした俺はもう一人の俺の肩に手をかけようと右手を伸ばした。
「おい、無視してんじゃねえよ!聴こえてんだろ!」
勢いよく肩に伸ばした俺の手はしっかりともう一人の俺の肩を掴むはず、だが何故か触れる事なく空を切った。掴めない? というよりは今のは通過したのか?
「…………え?」
あまりの出来事に見間違いと思い、もう一度手を伸ばす。
しかし右手は何も掴むことはなく、虚しくも同じ結果に終わった。
結論、ナニコレ?
その後暫くの間色々と試したが、わかったのは部屋から出れない、物質に干渉できないの二点。
やることもなく床にごろごろとして最早暇すぎるので寝ようかとしていたとき異変が起こった。
妙な違和感を感じて足元をふと見ると足の指先から順にスーッと消え始めているのだ。
「は?おい、ちょっと待てよ?はぁ!?冗談だろ?ウワァーッ!!」
叫び声は誰にも届くことなく俺の体はこの世から消失し、もう一人の俺だけがこの世に残った。
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