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色白青年は夏海の頬を、伸ばしたり、戻したり、いたずらに弄ぶ。
軽く引っ張られる程度なので、さして痛みは無いが、気には障る。
(いったい、何がしたいんだ!?)
意味の分からない行為に、いらっとした夏海が、色白青年の方へ、首をググッと捻って顔を向けた。
「あのですね! 一応お尋ねしますが、貴方は何してるんですか!?」
「本当にとってもよく伸びますね~! 見て見て、平助!」
こんなに至近距離であれば、夏海のその声は聞こえただろうに、色白青年は夏海とは反対方向にいる藤堂を振り返る。
「あっ本当だ! よく伸び……って違う違う!! 何やってんだよ、総司!?」
「おい、無視すんじゃねぇよ、この野郎」
藤堂はハハと笑うが、すぐに状況を思い出し、思わず突っ込みを入れ、夏海は華麗なまでの色白青年の無視っぷりに、また口が悪くなる。
「上等じゃねぇか、っの野ろ……!!」
「はいはい、夏海は大人しくしとこーな~?」
夏海はすぐに手を出そうとしたが、それを先読みした山崎が、口調はやんわりと、それに似合わず夏海の手首を握る力は強く、許さなかった。
しばらくシダバタと抵抗を試みる夏海だったが、やはり無駄だと思い、とりあえずはまた大人しくしておく。
それを見計らったかのように、色白青年が唐突に我に返って周りを見回す。
「あれ? そういえば、皆さん何故集まってらしたんですっけ?」
ぐるりと見回した後、可愛らしく首をコテンと傾ける。
いきなり来て、散々緊張感をぶち壊してからの色白青年の発言は、あまりにも空気を読んでいなさ過ぎて、周りはほとほと呆れるばかり。
素直な藤堂なんかは、そのことを隠さず、思い切り肩を落としている。
なんとなくシラけた雰囲気になったところで、眉間に皺を刻んだ男が、疲れたように溜め息と、一。
「……ハァー、斎藤頼む」
「承知しました」
先程、色白青年によって姓が『土方』だと判明した男が疲れたように片手で顔を多い、斎藤を呼んだ。
たったそれだけで、土方の意図を理解したらしい斎藤は頷くと、色白青年を『沖田』と呼び、自分と藤堂の間に座らせた。
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