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「あなたを愛してくれる人が、いつか、きっと現れる。どれくらい先の話になるか分からないけど、巡り合えるはず」
そう言って、頭を撫でてくれた人。その優しい声を思い出す度に、リチアの心は跳ね上がる。
その顔を見たくて目を開けようとしたけれど、瞼は重く、いうことを聞かない。
意思とは関係なく、無情にも少女の意識は遠のいていく。耳に届く声が段々と小さく遠ざかる。
「さあ、この手とって。雲まで届く歌、歌いましょう。さあ、リズム刻んで。雨上がりの水たまり飛び越えるような、軽いステップ踏みましょう。さあ、陽だまりのその真ん中で――」
待って、まだその歌を聴いていたいの。
まだ、あなたと一緒に踊っていたいの。
心の中で叫んだが、その先を聞く前にリチアは意識を手放した。
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