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でもいまの私には、そのことを手放しには喜べなかったりもした。
――あれは、記憶なのか。
だけどもし記憶だとして、どうして今になって蘇るのだろうか?
いや、そもそも記憶を無くした者がそれを取り戻すためには、その人なりの刺激が必要となるはず。
確かに療養も必要だけど、じっと寝ているだけで戻るはずがない。
それほど甘くはないとは思う。多分だけど……。
あの爆発が原因でなったわけじゃないことは明確。
だってあんなことは、今では頻度もグンと少なくなったけど、日常茶飯事となっていたから。
となると、やっぱり――
**
「……許さない」
**
「っ……!!」
思い出すだけで、またゾクリとする。頭も痛くなってきた。
気分も悪くなってきて、吐きそうになる衝動を抑える。
「リルさん?
大丈夫? 気分でも悪いの?」
スノウくんが気付いて声をかけてくれたけど、正直返す気力もない。
だからといって無視するわけにもいかないので、首を横に降る。
お姉様も、スノウくんに続いて声をかけてくれた。
けど、心配させてまた迷惑をかけさせるわけにはいかないのだ。
私はただでさえ、この学校にきてお姉様の叱咤(しった)を数回、受けているのだから――。
――なので同じく、首を横に振ったのだった。
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