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二人に見送られて、僕は寮施設にある一番手前に個室の前にやってきた。
つまり、霧切さんの個室の前だ。
本当にDVDについて聞いても大丈夫なのだろうか。
いざ、インターホンを押そうとすると、そんな不安がよぎり、躊躇ってしまう。
「ええいっ! 押しちゃえ!」
ピンポーンとチャイムが鳴り、それからしばらくあって扉が少し開き、
その隙間から霧切さんの顔が現れるまで僕は気が気でなかった。(この間0.0008秒)
「な、苗木君!?」
僕を見るなり、声を上げ驚いた様子を見せた霧切さん。
気のせいかも知れないが、頬が少し赤いような……。
しかし、僕がはっきりとそれを認識しない内に、霧切さんはすぐにいつもの冷静な表情を取り戻した。
とにかく、彼女らしからぬ表情だったのは間違いないと思う。
「き、霧切さん……いきなりごめん。ちょっと、聞きたいことがあるんだけどさ……。い、今……大丈夫……かな?」
緊張しながらも何とか声を絞り出し用件を伝えた僕。
「ちょうど、良かったわ。私も苗木君に確認しておきたい事があったから……。立ち話も何だし、中に入って」
踵を返し、部屋の奥へと入っていく霧切さん。
確認したいことって何だろうか?
いや、まずはあの事をはっきりさせないと!
「お、お邪魔します……」
決意を固め、霧切さんに続き、中へ入ると、僕は扉を閉めた。
こ、これで、もう後戻りはできない……。
やるしかない、やるしかないんだ!
必ず、DVDの真相を明らかにするんだ!
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