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『あ~今日も疲れた。』
デスクに座りっぱなしで何時間経っただろう。
私は時計を見ながら、固まった身体を伸ばすように椅子にのけ反った。
明日は締め切りの日だから、周りはガヤガヤと騒がしく仕事をしている。
『優奈ちゃ~ん、今コピー手伝える??』
遠くから2つ年上でいつも私を支えてくれる先輩の“佐藤さん”が私を大声で呼ぶ。
その声に誰も反応しない。今は真夜中なのに、うちの部署は昼間より騒がしいくらいだ。
私は疲れてたから声を出さないままオッケーの合図をして佐藤さんがいるコピー機に向かった。
『今日もあと少しで終わるね~』
コピーされてくる紙を2人で束にしながら、佐藤さんの言葉で毎月この日を迎えては目を凹ませて家路に着くのを思い返した。
『毎月、この日だけが恐怖ですね。』
と私は答える。
佐藤さんはうん、うんと頷きながらため息をついた。
私は、雑誌の編集社で働いている。
私の希望はファッション雑誌なんだけど、この会社に就職出来たのも奇跡に近いのに……
そう上手い話がある訳もなく。。。
私は、グルメ雑誌の部署に所属している。
特にこの部署が嫌な訳じゃないけれど、締め切り前日はみんなが朝方まで残業をする。
何十人という人数で、一冊の雑誌を作るのだから簡単そうだけど……
誤字、脱字やら予定していた店がキャンセルになったりなど毎月問題が発生する。
明日までに仕上げなきゃいけないとなると、結局毎月この日は残業になるのだ。
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