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『一人だけ問題児がいるのよ。そのメンバーの子だけは、インタビューの日にインタビューに答えてくれなかったりするの。』
編集長は悪戯っ子みたいに笑いながら言った。
『はぁ………それで…』
と私はどうしたらいいのか聞きたいのに、まだ言葉にならないような声で聞いた。
『それで、その子だけは毎日スケジュールに合わせて通って機嫌がいい時にインタビューするの』
その後は色んな説明を聞きながら…
なんて凄いんだ芸能人って。
とか、他人事のように編集長の話を聞いた。
そのメンバーの名前は『有重』と言うらしい。
機嫌がいい時は、とても優しいみたいだけど……
浮き沈みが激しいのか、
機嫌が悪い時にはメンバー以外とは話もろくにしないと言う。
私はそんな人に本当にうまくインタビューを出来るのだろうか……
不安は消えないけど、やるって決めたんだ。
私はそう簡単に辞めないぞ!!!!
と気合いを入れて先輩に連れられて、今日は歌番組の収録をしているというTHSKのメンバーのいる収録スタジオに向かった。
私は収録スタジオに入るのも初めてだったからキョロキョロしながら建物の中に入った。
先輩から何枚かのスタッフ用の通過許可証のようなものを渡された。
ここ以外のスタジオもマネージャーに許可されたとこには、スタッフとして入れるからと説明をしてもらうと、
鞄の中のカード入れにしまった。
大きくて重そうな戸を開けるとTHSKの5人が、調度良く歌を歌ってるところだった。
私は生で聞くその美しい歌声に涙がポロポロと自然に流れた。
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