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初めてTHSKのインタビューに行ってから、何週間か経った頃。
私は先輩なしで初めてスタジオに出かけた。
先輩はTHSKが毎月掲載する契約になった時から、ずっと入ったばかりの子を連れてインタビューに行っていたらしいけど。
先輩も忙しくないわけではない。
私もTHSKのメンバーの性格を少しは知ったし、みんな仲良くしてくれていたから毎日が楽しかった。
有重がいなければ、毎月のインタビューも1日で終わるって言ってたけど。
私が初めて行った日から数週間は有重が私の顔も見てくれなかった。
インタビューが出来そうな時を見計らいながら、声をかけると挨拶はしてくれるのに質問には答えてくれない有重。
私は有重に何か言われるとムッとして、気持ちを切り替えてを繰り返していたけど。
やっぱり有重は、毎日見てるといつも悲しい顔をする。
何があなたを悲しませてるの??
最近、毎日心の中でつぶやく。
心の声が有重に聞こえてしまえばいいとさえ思った。
もどかしくて仕方ない。
私は遠くから有重を見つめていた。
私が有重に気を取られていると、気配を感じて勢いよく振り向くと優歩が私の後ろに立っていた。
『優奈チャン。インタビュー進まなくてごめんね?』
と本当に申し訳ないと言うように手を合わせる優歩。
『優歩さんのせいじゃありませんから。私なら平気ですよ。』
と胸を叩いて答えた。
『ありがとう。優奈チャン、少し話せるかな??』
優歩くんが真面目な顔をして聞くから、私は何故かドキドキした。
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