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『私にファッション雑誌に異動通知がきたの』
佐藤さんは握った私の両手をブンブンと振りながら言った。
『キャー!!!!本当ですか~?すご~い!!!』
私も負けないくらい両手を振り興奮気味に答えた。
『うん。本当、本当。でさ優奈ちゃんを一緒にっていう申請を出したの。』
私の興奮は、一定値を越えてしまって言葉が出ない。
固まった。
『お~い。優奈ちゃ~ん。』
佐藤さんの呼びかけもなんか少し遠くに感じた。
『あっ。はい!!!嬉し過ぎてフリーズしてます。』
と元気に答えた私に……
『まだ私もハッキリと移動通知が来た訳じゃないけど、2人で行けたら最高だよね。』
私は大きく頷いた。
そのあとも佐藤さんが、まだ決まった訳じゃないよと何度も言ったけど私は
『ありがとうございます。』
と何度も頭を下げた。
別にもしファッション雑誌の部署に行けなかったとしても、佐藤さんが私を一緒にと申請を出してくれただけで胸が温かくなって嬉しくて仕方がなかった。
徹夜明けのまま、社内にあるシャワー室でシャワーを浴びながらも私は佐藤さんの言葉にジーンとした。
目を閉じて熱いシャワーを思い切り浴びると涙が一緒に流れて行く。
佐藤さんの気持ちだけでの興奮ではなかったのは確かだった。
夢だったファッション雑誌に関わって仕事が出来るかもしれない。
その興奮から涙が流れたような気がした。
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