『出会い』

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昨日、出勤する時に用意してきた服に着替えて化粧をし直すと…… まだ騒がしく活動している仕事場に戻った。 私が担当してるページはほんの数ページだから、もう編集長に提出も済んでるし帰ってもいいと毎回言われるけど…… 全員の仕事が終わって、最終チェックに入る時のテンションがたまらなく好きで私は帰らずにいつも締め切り日には会社にいた。 辛い徹夜明けもあってかみんなのテンションが一気に上がる時に、今月も頑張った~と自分をも褒めたくなるくらいだ。 最終チェックも終わると今日はみんな午前中のうちに帰宅をする。 私は帰宅する前に、毎回締め切り日には自分のデスクを綺麗にして帰る。 また明日、出勤した時に再出発の気持ちで頑張るためだ。 私が、毎月の儀式のようにデスクの上を綺麗に片付けてると…… 『優奈くん。ちょっと会議室に来てくれ。』 と編集長に声をかけられた。 『はい。今行きます。』 と返すとすぐに編集長が会議室に消えて行った。 私は片付けを半端にしたまま会議室に駆け込んだ。 『失礼します。』 会議室に入ると佐藤さんと編集長が向かい合って座っていた。 『優奈くんも座って。』 と編集長に施されて佐藤さんの隣に腰掛けた。 『佐藤くんは分かってると思うけど、異動の通知が来ている。』 淡々と編集長が話す。 『で……優奈さんの件はどうですか?』 佐藤さんが私の異動についてなのか編集長に聞いた。 『うん。一応異動通知は届いた。』 私はガッツポーズをしたいくらいの気持ちだったけど、編集長の『一応』に戸惑った。 ・
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