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『一応って………』
と私はつい口を出した。
『まぁ…驚かないで聞いて欲しいんだけど。』
と編集長がモゴモゴと話した。
私は冷や汗をかきそうになった。
無理に異動の申請を出したからなのか……佐藤さんの異動とは違う何かがありそうだ。
『はい……。』
と編集長と佐藤さんをチラチラ交互に見ながら返事をした。
『実はね……………』
と編集長が長々と話している間、私は気が遠くなりそうだった。
自分のデスクに座り、みんな帰宅したあとも静かな仕事場で頭の中を整理した。
『私に出来るのかな…』
と呟く。
編集長の話によると、佐藤さんは先輩と数ページの月の特集の補佐から始めるらしい。
私たちは、ファッション雑誌といっても20代後半の雑誌の部署に異動になるらしく私が1番若い下っ端になる。
このファッション雑誌には、毎月巻末に載ってる芸能人がいて何年か契約をしている。
私はここまで聞いて、その芸能人が誰か分かっていた。
THSKというグループで韓国から来ている歌手だ。
社内には発売された雑誌が色んな所に置かれているから、ファッション雑誌はいつも目を通していた。
この時点で私は少し嬉しかった。
THSKは今かなり人気のグループだし、私も好きだったから。もしかしてその担当??
私は舞い上がるような気持ちを抑えながら編集長の話を聞いた。
毎月の契約を結んだ時にTHSKから担当者の年齢制限をされたらしい。
20代前半の人を担当にすること。
それが、みんな何ヶ月かで辞めてしまうという話だったのだ。
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