第1章 第4節

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何で家が隣同士なのに駅に集合なんだろう? そんな事を思いながらも、僕は律儀に準備をしていた。 昨日の聖さんは何かおかしかったから、正直聞き直す気にはなれなかった。 時折、そういうことをすると聖さんはいきなり怒り始める。 なのに、理由を話してはくれないのだ。 そういえば、愛が居るときに怒られる記憶があった。 愛に関係あるのだろうか? 「…まぁ、いいか。」 特に気にする事でもないだろう。 聖さん達と出かけるのは何年ぶりだろう? お金をたくさん持って来い。とか言ってたな。 多分、男だからという理由で昼食でも奢らされるのだろう。 財布を開いて、憂鬱になった。 「…3人分じゃ、すぐ消えそうだなぁ。」 聖さんのことだ、マックじゃ許してくれない。 「最低でもファミレスだよなぁ。」 下手をしたら1人二千円位は持っていかれるかもしれない。 「…男って、報わないよな。」 しみじみと思う。 咲は楽しそうに僕を見て笑っていた。 「…眠い。」 昨日、緊張して眠れなかった反動が今来てしまった。 駅前は休みのせいか人が極端に少なかった。 眠いながらも自分の服装をチェックする。 おかしいところはないだろうか? 似合っているだろうか? 寝癖はちゃんと直ってるだろうか? 家を出る前に散々確認したはずなのに、どうしても気になってしまう。 駅のガラスに自分を反射して、髪を整えていると、あまりに熱心だったからか、たまたま通ったおばさんに笑われてしまった。 「…そわそわしすぎかな。」 恥ずかしくなって一度止めても、気になって、また同じことを繰り返してしまう。 あやめちゃんの時もそうだったけれど、彼を待っている時の自分の律儀さに何となく気恥ずかしさを覚えてしまう。 「…好きって言ってるようなものじゃん。」 お姉ちゃんが「恋愛はボディーブローが大切!」とか、また訳のわからない事を言っていたけれど…じわじわ攻めろって事なのだろうか? 「仕草程度じゃ、ボディーブローにもならないのか…お兄ちゃんの場合。」 相手はだいぶ強敵だよ…お姉ちゃん…。 私は大きな溜め息をついた。 あと5分で時間だ。
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