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そのあとの話。
「バス停の、~病院前で降りたのですが、道に迷っちゃって。真逆を歩いてたみたいですね……」
僕は少し驚いた。
道に迷ったなら、自分がどこを歩いて来たのかもわからなくなりそうだけど、この人は方向感覚がしっかりしてる。
ただ、目が見えないなら当然なのかもしれない。
そう思うと、少し複雑だった。
その人が降りたというバス停の前まで来た。
「ここがそのバス停ですね。~バスを使って病院に来ると、川を挟んで反対側になるので…………一応、~病院はかなり大きいので、ここから見えるのですが。」
その、~バスというのは、ほとんど地元の人専用に近い。
さらに、バス停からすぐ病院は見えるけど、川を挟んでいるから、全盲の人ならどこにあるのかわからない。
僕は今まで、このバス停の位置が“不親切”だと感じたことはなかった。
「あ、そうなんですか。」
そのあと、少しの間は無言だった。
幸い、道はアスファルトで、段差より坂道。
病院に行くまでの間、信号が二つ、間に赤い橋がある。
一つ目の信号、渡る時は青だった。
車が来ていたが、止まってくれたので渡った。
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