序章

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ことのはを のこすなら。 ゆきのようにしろければいい。 わかってくれなんていわない。 言の葉。 コトノハ。 人という樹から生れ落ちゆく葉。 ときに芽吹き 花を咲かせ 葉を残し 実を結び 枯れゆき 蕾をたくす。 その存在は、風に舞い 鳥に運ばれ 地に落ち また新たな言の葉を紡ぐであろう。 己の無力さなど、 とうに理解している。 が、 己の紡いだ言の葉は 時として 人に思いを託す。 ただ一人にと紡げば幾多の人の眼に触れるだろう。 言の葉を 葉っぱのように旅立つのも 糸のように紡ぎ、受け渡すも すべては 自分の意志だ。 己の無力さを知りつつも、 世界を手にする力を備えていると 己が気付いた時に 貴方は、どう、語り継いでゆくのか 糸のように、記憶に紡ぐのか 葉のように、漂い、消えゆくのか。
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