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光の森…光魔法使いの長が森の妖精と契約を結び護りし森。
四季の移り変わりに様々な姿を見せる。
太く丈夫な樹木が下生えの草花を保護し、小動物が安全な住みかを得、森の奥には小さな泉があり、その更に向こうは、警戒心の強い大型の草食獣の住みかになっていた。
この森の本来の意味は、妖精王の居る妖精界と人間界を繋ぐ門。
そこを慣れた風に歩き抜けていく人影があった。
目的地はこの森の入り口にある屋敷。
…ざわざわ…
(ん?)
森の樹木が風も無いのに、まるで何事かを告げるかのように枝葉を揺らした。思わず立ち止まって、樹木を見上げる。
「御待ちして居りました」
背後からの声に、全身に緊張が走る。
(…気配がしなかった!)
全く気配を感じる事無く後ろを取られるなど、いまだかつて無い。
ゆっくりと踵を返し、身体を横向きにし相手を見る。
美麗な姿は、おそらく一目で人の心を虜にするだろう、人ならば…
「貴方が光の妖精か…」
質問ではなく、確認だった。
整った顔が検分でもするかのように見下ろしている。何故なら、相手は地面から僅かに浮いていた。
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