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「何か、用か?私にはお前たちのような輩に声をかけられる覚えは無いんだが」
一目で相手が何者なのか理解していた。しかも見事なまでの気配の消しようから、かなりの上級と判断出来るから厄介だ。
「そんなキツい表情、似合いませんよ。可愛い顔が台無しだ」
神経を逆なでするような言い様に右手を握りしめる。
「侮辱するのが、お前たちの口説き文句か?」
声音が普段より更に低くなる。
「だから、キツい表情は似合わないと申し上げているのに」
口許に笑みを浮かべて、からかうかのように更に神経を逆なでしてくる。
「ケンカを売りたいなら、相手を選ぶべきだ」
「そんなつもりはありませんよ」
「それなら、さっさと消えてくれ。お前と話している暇などない」
「えぇ、そうですね。ここは居心地が悪い。用を済ませましょうか」
「用?」
「我らが王が貴方をご招待したいと」
「断る」
即答だった。
「貴方に断る余地は無いんですよ」
「!」
いきなり周囲を妖力が渦巻いた。
その場から転移しようとして、空間が相手の結界により閉じられている事に気づく。
「くっ……!」
魔力を喚び込もうとして、完全に森との繋がりも絶たれていることに愕然とした。
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