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言いなりになるわけにはいかない。体内に宿る魔力を使い光矢を結界に向けて放った。
「無駄な事を」
笑いを含んだ言葉の通り、結界に触れるや光矢は霧散した。
「なっ!?」
「貴方が、完全では無いのは承知なんですよ」
「っ!」
相手の言葉に驚いた隙をつかれて、妖力に絡め取られ四肢の自由を奪われてしまった。
「本性が表に出てこないうちに、連れていくことにしましょう」
そう言うと素早く戒めの刻印を胸に刻みこんだ。焼き印でも押されたかのような激痛に思わず声を上げてしまう。
「あっあぁぁぁっ」
「貴方には解けませんよ」
「うっ…」
「純粋な光には、さぞかしお辛いでしょう。だから眠りなさい」
相手の手が額にあてられるとスゥーと意識が遠退く。
「もう少し遊べるかと思ったんだがな」
笑みを浮かべたまま、つまらなそうに言い、手をひと振りすると、結界ごと姿を消した。
後には何事も無かったかのような静けさだけが残されていた。
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