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最近はメイヤが実働可能になり、ラシルが前線に出ることは減っていた、が、その代わり娘のユーリアを始めとする見習いの修業に勤しんでいた。
しかし、やはりメイヤの力量に見合わぬ依頼には、ラシルが行くことになるため、以前と変わらぬ忙しさがある。
今は王都の光の館を拠点にしているため、こうして家族だけで光の森の屋敷に戻って来たのは数ヵ月ぶりなのだ。
ただ、里帰りしたわけではなく館には無い魔法書に目を通す必要があってのことで、それが済めば再び王都に戻る予定だった。
「ごちそうさま」
「あ、残ってる~」
目敏くユーリアが指摘し、カーユラが視線を投げた。
子供たちの躾の一環として食事を残すことはよしとされない。立ち上がりかけたものの、二人に睨まれては敵わない、諦めて座り直し残りを口に運んだ。
書斎に戻り机についたのはいいが、どうにも腹が重い。
昼間は特に量が入らないのは解っているはずなのにと、ついカーユラを恨みたくなるが、子供の前では食べきるしか無いのを承知でやっているのだから諦めるしかない。
「う~ん」
腹の中味がこなれないうちは頭も働きづらい。
仕方なく魔法書を読むのを断念して、書斎を後に自室に向かった。
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