smoke on the water

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俺はiPodの電源をONにした。 先生にバレないように襟から出して左耳に付けたイヤホンから深く歪まされたギターの音色が流れ出す。 俺が今、聴いている曲の名は『smoke on the water』ディープ・パープルの代表曲だ。 正直、『smoke on the water』と聞いてギターをやってる奴の半分は「うわ~初心者だ~」とか言って馬鹿にするだろうが、俺は格好いい音楽は簡単だろうとなかろうと格好いい!!っと、言う人間なので関係なく聴いている。 白井 響(しらい ひびき) それが俺の名前 大して頭がいいわけでもなく運動能力も人並みで、身長もクラスでちょうど真ん中あたり、顔立ちもそこそこ…人並み以上のものがあるとすれば音楽ぐらいだろう。 「いいか。モルの計算問題は大事だからしっかりやっとけよ~!!」 理科担当の本郷先生が言った。 もとい、俺はそんな事は聞いていない。 まぁ、それはそうだろう。窓側の後ろから4番目の席という利点を生かして、授業の代わりに音楽を聴き、教科書の代わりにギターの音楽雑誌を読んでる位なんだから。 ふと窓の外を見る。 雲一つ無い静かな空を鳥達が飛んでいく 空を自由に飛んでいく 俺は今ここで何をしてるんだろう?
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