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うんざりしたように、太郎くんの問いかけにうなずく遙。
どんな女の子なんだろう?
スズコって。
「イライラしてて、誰でも良かったんだよ。
まさか、そんなにお喋りと思ってなかったしさ」
観念したのか、やっと喋りだした遙の言葉を遮るように、私の声が重なった。
「誰でも良かったって………彼女じゃ、ないの?」
遙は思い切りその顔を歪めながら、私を見た。
「お前さっきから一体何だよ?彼女彼女って!そんなにオレに彼女がいて欲しいのか?
必要ないことまで暴露しやがって!!」
また、怒らせた!
肩が竦む。
遙が、怖い。
どうしよう………。
戸惑う私に、太郎くんがさらにドツボにはまるひと言をくれた。
「オレら、今日は帰るよ。後は、二人でゆっくり話せば?」
…………お願い、二人にしないで!
遙が、怖いんだってば!!
心の叫びも虚しく、三人は帰り支度を始めた。
「じゃ、行こうぜ」
それぞれがドアの向こうに消えて、閉じかけられたドアの隙間から、佳織ちゃんの声が最後に届いた。
「あんまり鈍いと、女にモテないですよ。先輩」
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